株主総会という言葉を聞いたことがある人はたくさんいるでしょう。
ただ、
「何をするの?」
「なぜ行うの?」
「どんな種類があるの?」
このような疑問を抱えている人も一定数いると思います。
そこでこの記事では、株主総会の役割や種類、6月に集中している理由について詳しく解説していきます。
株主総会って一体何?
会社というのは、社長の物ではなく株主のものです。
株主というのは会社が発行している株式を所有している人のことを差し、この株主は、お金を払って会社に出資する代わりに、
・自益権→利益を得る権利
・共益権→意思決定に参加する権利
を持っています。
この共益権を行使し、自らの意見を発言する場が「株式総会」なのです。
株主総会には種類があるって本当?
株主総会には、大きく分けると2つの種類があります。
では、それぞれの種類について詳しく見ていきましょう。
定時
これは、年に1回必ず開催される株主総会のことを差します。
各会社によって内容が少しずつ変わってくるのですが、
・決算の承認
・余剰金の分配
・役員の選任
などを行うのが一般的です。
臨時
これは、不定期で開催される株主総会のことを差します。
会社にとって重要な決定を下すタイミングで行われることが多く、このような決定事項がない場合は開催されません。
株主総会では何を決定するの?
次に、株主総会で話し合われる内容について詳しく見ていきましょう。
会社の方向性や根幹
株主総会では、会社の方向性や根幹についての話し合いが行われます。
例えば、
・会社の解散
・新規株式発行
・定款の発行
・合併
などです。
会社の根幹については、社長や幹部だけの意思では決めることができず、株主からの承認が必要になるのです。
役員に関すること
会社の役員を選出するのは株主の役目です。
社内の人間だけで、
「社長はこの人」
「幹部はこの人」
と決めることはできませんので、株主総会で話し合いを行います。
このようなことから、会社の業績が落ちたり、問題が起こったりしてしまうと社長をはじめとする役員が株主によって解任されてしまうことがあるのです。
配当など株主に関係すること
株主というのはボランティアで企業の株式を所有しているわけではありません。
中にはその会社を心から応援したいという気持ちで株主になる人もいるのですが、ほとんどの場合が「利益」目的です。
つまり、得られる配当に重きを置いているということになります。
株主総会では配当や役員の報酬額など、金銭的な話し合いも行われます。
こう聞くと、
「役員の報酬も株主が決めるの?」
という疑問を抱える人もいると思いますが、社内で役員の報酬を決めることができてしまうと、業績とかけ離れた高額な報酬に設定することもできてしまいます。
そうすると、株主への配当が減ってしまう可能性があるため、必ず株主総会で承認を得なければならないのです。
株主総会は6月に集中している?
定時株主総会というのは、決算日から起算して3か月内に行わなければならないというルールがあります。
日本では3月を決算期として設定している会社が多いため、4月、5月、6月のどこかで開催しなければなりません。
ただ、全体的にみると株主総会を6月に開催する企業が多いです。
では、その理由と合わせて、6月に株主総会を開催するメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
6月に行うメリットは?
今でこそ数が減っていますが、かつての株主総会には「総会屋」と呼ばれる団体が度々邪魔をしてくることがありました。
総会屋というのは、株式を少しだけ取得して総会に参加して、権利を乱用しながら企業に金品を要求するという団体のことです。
この団体は、商法と会社法の改正によってかなり沈静化しているのですが、完全に0とは言い切れません。
そのため、あえて6月に集中させることによって、総会屋の動きを分散させることができるのです。
6月に行うデメリットは?
6月に株主総会を開催することで、スムーズに話し合いを進めやすくなるのですが、複数の株式を所有している株主が1つの会社の総会にしか参加できなくなるというデメリットもあります。
このようなことを踏まえて、近年では曜日を少しずつ変えて行ったり、土日に株主総会を行ったりする企業も増えてきています。
まとめ
株主総会というのは、企業の株式を所有している株主に向けて情報発信をしたり、株主からの意見を聞いたりする会のことを差します。
会社の重要な決定事項については株主からの承認が必要になりますし、役員の選定や報酬の決定などについても株主に話を通す必要があるのです。
また、株主総会というのは総会屋の介入を防ぐために6月に集中して開催されています。
これによって総会屋の介入が少なくなり、スムーズに話し合いを進めることができるのですが、いくつかの株式を保有している正当な株主を困らせてしまう可能性があるとして、問題視されているのです。
ただし、近年では曜日を変えたり、土日に開催している企業もあるため、このような問題も解決に向かっていると言えるでしょう。