会社を経営したり、個人事業主として活動していくためには、「不良債権」という言葉の意味を知り、対処方法などを頭に入れておくことが大切です。
不良債権について正しい知識を身に着けておかないと、いざ不良債権が発生した時に泣き寝入りする羽目になってしまうのです。
そこでこの記事では、不良債権とは一体どのような意味なのか、どんな時に発生して、どのように回収すればいいのかということについて詳しく解説していきます。
不良債権って一体何?
債権というのは、貸した側が借りた側に賃金の返還を要求する権利のことを差します。
とはいえ、全ての債権が問題なく回収できるとは限らず、会社の業績や状態によっては現実的に見て回収が難しくなるケースもあるのです。
このような回収困難に陥った債権のことを「不良債権」と呼びます。
不良債権ってどんな時に発生する?
不良債権という言葉の意味を知っていても、いつ発生するのかがわかっていないと未然に対策をすることができません。
そこで、不良債権が起こりやすいケースやタイミングについて詳しく見ていきましょう。
お金が返ってこない
企業同士がお金の貸し借りをすることは意外とよくあります。
ただ、個人間でのお金の貸し借り同様、
「今返せないからもう少し待ってくれ」
という状態が起こってしまうケースもあるのです。
この状態になった場合は、紛れもなく「不良債権」が発生していますので、早急に対応をする必要があると言えます。
料金を支払ってもらえない
不良債権が最も発生しやすいのは、サービスや商品の代金を支払ってもらう時です。
その場で決済して、お金と商品やサービスを直接交換する場合は問題ありませんが、場合によっては「請求書払い」などを行うこともありますよね。
ただ、請求書払いで対応した場合は、期日になっても振り込まれなかったり、連絡が取れなくなってしまったりする可能性があるのです。
この時も「不良債権」が発生してしまいます。
家賃が振り込まれない
不動産を貸し出しているという場合、家賃未払い時に不良債権が発生してしまうことがあります。
家賃の未払いを何か月も許容してしまうと、全ての債権を回収できなくなってしまう可能性があるため、ほとんどの大家さんは滞納を3か月程度しか許容せず、それ以上滞納する場合は強制退去という手段を取るのです。
給料が振り込まれない
不良債権と聞くと、企業間のトラブルをイメージする人も多いでしょう。
ただ、会社と雇用者の間で不良債権が発生することもあるのです。
代表的なのは「給料の未払い時」です。
会社の業績が落ちてしまうと、従業員に給料が支払えなくなってしまうことがあります。
特に多いのは残業代の未払い問題です。
これに関しては労働者側が泣き寝入りせざるを得なくなってしまうことがありますので、未然に対策をしておくことが大切です。
不良債権をスムーズに回収するには?
不良債権が発生してしまった場合は、後回しにするのではなくすぐに回収作業に入ることが大切です。
では、一体どうすれば不良債権をスムーズに回収することができるのでしょうか。
まずは相手に連絡を入れる
不良債権が発生した場合、まずは相手に連絡を入れましょう。
「もうしばらく待てば振り込んでくれるだろう」
このような考えを持ってしまうと、相手と連絡が取れなくなってしまったり、夜逃げされてしまったりする可能性が非常に高くなります。
期日までに振り込んでくれないということは、相手に返済する意思がないか、返済できない理由がある可能性が高いため、催促の連絡をすぐに行いましょう。
督促状を送る
相手がいつになってもお金を返してくれない場合、裁判所に申し立てを行って督促状を送付しましょう。
督促状には強制力がありますので、スムーズに不良債権を回収しやすくなります。
ただし、督促状への異議申し立てを相手側が行った場合、裁判が始まってしまいますので通常よりも手間がかかることが予想されます。
内容証明を送る
知らない人も多いですが、債権には時効が存在します。
この時効を阻止するためには、請求した証拠を残すことが大切で、その手段として最も効率的なのが「内容証明」です。
内容証明を用いて請求書を送ることで、文字通りその内容を郵便局が証明してくれますので、時効成立を阻止することが可能になります。
裁判や調停を起こす
どのような手段を用いても支払いを行ってくれない場合は、裁判や調停を起こすというのも1つの方法となります。
そうすることで、法律の力を借りて債権を回収できる可能性が高まります。
ただし、裁判や調停には費用が掛かりますし、弁護士を立てたり、書類を用意したりとかなりの手間がかかりますので、覚悟を持って取り組むようにしましょう。
不良債権は100%回収できるとは限らない
残念ながら、不良債権は100%回収できるとは限りません。
明らかに相手に非がある場合でも、ない袖は振れませんので、現実的に回収が難しくなってしまうこともあるのです。
この場合は、不良債権を損失として計上することができますので、節税に繋げることができますし、厚生労働省へ相談することで補償を受けられる場合もあります。
回収できない不良債権が発生した場合、泣き寝入りをしてしまう経営者、担当者の方も多いのですが、できることはたくさんありますので絶対に諦めないようにしましょう。
まとめ
不良債権について他人事だと考えている人も多いですが、会社を経営している人だけではなく、会社員でも不良債権トラブルに巻き込まれてしまうことがあります。
そうなると、不良債権を回収するためにあるとあらゆる手段を用いなくてはならなくなりますし、場合によっては泣き寝入りせざるを得なくなってしまうこともありますので、正しい知識をつけて未然に対策をしておくことが大切です。